1か月で1,573回——トカラ列島近海の群発地震を数える
「日本で一番地震の多い場所はどこか」と聞かれたら、答えは年によって変わります。ただ、2025年7月に限れば答えははっきりしています。トカラ列島近海です。
全国の95%が1か所
2025年7月、全国で震度1以上を観測した地震は 1,651回 でした。そのうちトカラ列島近海で起きたものが 1,573回。
全国の95%が、この1か所です。
この月の全国の回数(1,651回)は、平常時の月と比べても異常です。当サイトが取り込んでいる範囲で、直近14か月の全国の回数を並べるとこうなります。
| 月 | 全国の回数 |
|---|---|
| 2025年6月 | 819 |
| 2025年7月 | 1,651 |
| 2025年8月 | 240 |
| 2025年9月 | 281 |
| 2025年10月 | 155 |
| 2025年11月 | 238 |
| 2025年12月 | 215 |
| 2026年1月 | 291 |
| 2026年2月 | 141 |
| 2026年3月 | 205 |
| 2026年4月 | 207 |
| 2026年5月 | 169 |
| 2026年6月 | 156 |
| 2026年7月 | 572 |
平常時は月150〜300回です。2025年6月〜7月の突出は、そのほとんどがトカラ列島近海によるものでした。2026年7月の572回は、熊本の地震によるものです。
群発地震とは
トカラ列島近海で起きているのは群発地震と呼ばれる現象です。
普通の地震は、大きな地震(本震)があって、そのあとに余震が続きます。群発地震には、はっきりした本震がありません。同じくらいの規模の地震が、数日から数週間にわたって続きます。
トカラ列島近海の月別の記録を、多い順に並べるとこうなります。
| 月 | 回数 |
|---|---|
| 2025年7月 | 1,573 |
| 2025年6月 | 698 |
| 2023年9月 | 351 |
| 2021年12月 | 308 |
| 2021年4月 | 264 |
| 2025年9月 | 160 |
数年おきに、まとまって起きています。始まると1か月続き、収まると何もない期間が長く続きます。過去11年の合計は4,305回ですが、その大半がこれらの活動期に集中しています。
鹿児島県の「回数の多さ」の正体
鹿児島県は全国でも地震の回数が多い県です。過去1年の内訳を見ると、その理由が分かります。
| 震央地名 | 過去1年 |
|---|---|
| トカラ列島近海 | 353 |
| 奄美大島近海 | 43 |
| 鹿児島県薩摩地方 | 28 |
| 大隅半島東方沖 | 7 |
| 奄美大島北東沖 | 6 |
| 薩摩半島西方沖 | 5 |
県全体448回のうち、353回(79%)がトカラ列島近海です。
つまり「鹿児島県は地震が多い」という言い方は、実態としては「トカラ列島近海が多い」ということです。鹿児島市や霧島市など本土での揺れやすさとは、直接は結びつきません。
鹿児島県は南北およそ600km。薩摩半島、トカラ列島、奄美群島は、別々の地域として見るほうが実態に合います。
トカラ列島に住む人にとっては別の話
統計としては「本土での揺れは小さい」と言えますが、トカラ列島(十島村)に住んでいる人にとっては違います。
群発が始まれば、震度4〜5弱の揺れが1日に何度も起きる期間が続きます。2021年と2025年の活動では、住民が島外へ一時避難した例もありました。
回数の統計は、その場所にいる人の体験を表しません。この記事の数字は「全国の傾向を見る」ためのもので、島での実感とは別のものです。
数え方について
- 出典:気象庁「震度データベース検索」を加工して当サイトが集計
- 数えているのは震度1以上を観測した地震です
- 「全国の95%」は2025年7月の全国1,651回に対するトカラ列島近海1,573回の割合(小数第1位を四捨五入)
- 月の区切りは日本時間です
鹿児島県全体の記録は鹿児島県の地震にまとめています。